会社名
大貫建築株式会社
所在地
宮城県仙台市太白区秋保町
設立
2006年(平成18年)6月
事業内容
住宅の設計、施工、改修工事等
資本金
300万円
自分が必要とされるために必要なことは何なのか?を追求してきた毎日
フランスの片田舎にぽつんと建つ家をイメージした
「Maman」
ニューヨークシティブルックリン区に建つ、程よくかっこよく暮らす家
「BROOKLYN HOUSE」
ひのきをふんだんに使った自然素材本格派住宅
「ひのき香房 無垢の城」
ホンモノの安心・安全の家づくりをモットーとされていらっしゃる大貫建築株式会社様(以下、大貫建築)。
奥州三名湯のひとつに数えられる宮城県の秋保温泉の中心地に事務所を構え、経営理念にも刻まれている「家族の未来創造業 ~私たちは建設業ではなく、家づくりを通じて社会へ 創り出すべき想いは住めば住む程、健康になる~」を目指して、日々お客様のために活動をされております。
「自分が必要とされるために必要なことは何なのか?」を日々追求しているなかで突然襲った東日本大震災、そんな時に偶然と偶然が重なって出会った大久保秀夫塾、これらから何を学び、考え抜き、そしてやり抜いたのか、大貫 潤平社長に振り返っていただきました。
あの震災があって、大久保秀夫塾で本気で学び抜く決断ができた
フォーバル 西野 幸典(以下西野):大久保秀夫塾受講前の御社の状況、また入塾されたきっかけについてお話しいただけますか?
大貫建築 大貫 潤平社長(以下大貫社長): 大久保秀夫塾の受講前は東日本大震災後で、被災を受けた家の修復作業に追われていました。とにかく人手が足らず私自身も現場に出向くほどです。とにかく復興のために毎日が必死でしたね。
結果として会社としての業績は上昇しましたが、これは私がいろいろなところで学んだことを実践したからでも、会社の仕組みがあってのことでもなくて、全く喜べる状態ではありませんでしたし、むしろこれではいけないなという思いが高まりました。
大久保秀夫塾の受講のきっかけはOBの話です。知人が仙台の一期生として受講していたのをFacebookで知りました。その後、ある海外研修へ行った際、一緒のグループの方もたまたま大阪の一期生だったのです。 そこで塾のいろいろと話を聞いていくなかで、気になる存在となりました。
しばらくして、知人の仙台の一期生が懇親会を行っていることをFacebookの投稿で知り、連絡を取り合い、そこで第2期生が開催されることを知りまして、入塾を決意しました。
大貫建築株式会社 代表取締役
大貫 潤平様
これでもかというくらい、理念・ビジョンと向き合った日々
西野:ソーシャルメディアの力と海外での偶然の出会いが重なって大久保秀夫塾のことを知り、入塾を決断されたのですね。実際に入塾されていかがでしたでしょうか?
大貫社長:進むべき方向性がハッキリしましたね。
入塾当初は、塾で学びながら同時に実践しようとしていたのです。しかし、そんなに簡単なものではありませんでしたし、それが悪い意味で経営成績にも反映されました。あれもこれも、全部をやろうとしてしまっていたんですよね。
これではいけないなと思っていた時に「理念・ビジョン」の話を思い出し、まずはこれらを明確にさせることが今の自分に必要だという結論にたどり着いたのです。
弊社内で「理念・ビジョン」について今一度考え直すために、半年間、週に2回、朝の10時~17時まで話し合いました。大久保秀夫塾でも何度もご指導いただいて、今の「理念・ビジョン」が確立されました。
西野:これでもかこれでもかという気持ちで考え抜かれたのですね。一極集中で重要な課題に取り組み抜かれたことが、御社にとって良かったのだと感じます。
株式会社フォーバル コンサルティングディビジョン
ディビジョンヘッド 西野 幸典
理念・ビジョンに魂を込めて全力投球
西野:当時は大貫社長にとりまして非常に大変な時期だったかと思いますが、一方で、御社が大きく変わられた分岐点でもあったかとも思うのです。実際に「理念・ビジョン」が確立されてから目に見える変化はございましたか?
大貫社長:「理念・ビジョン」への想いを社内だけでなくお客様に直接伝えようと思い、弊社が行っている「家づくり塾」の実施内容を一新しました。
家づくり塾の開催時間は90分なのですが、そのうちの45分は「理念・ビジョン」をお客様へ伝える時間に費やしました。
西野:45分ですか(驚)。かなりの時間かと思うのですが、例えばどのようなお話しをされ、実際のお客様の反応はいかがだったのでしょうか?
大貫社長:「私たちの手掛ける家は常に理念どおりとなっている」ということを、私なりの言葉でお客様へ伝えました。
思いのほか反応が良かったです。家づくりをご依頼いただいた背景に「理念・ビジョン」に共感いただけたことがあったことが何よりも嬉しかったですね。
西野:お客様が、大貫社長の「理念・ビジョン」に対して共感・共鳴された瞬間を目の前で見ることができるということですし、双方の想いが一致して家づくりをご依頼いただけるのですから本当に嬉しいですね。
このようなお客様のつながりで、ご紹介等も増えてきているのでしょうか?
大貫建築様の打合せ場所には
大きな文字で経営理念が掲げられている
大貫社長:はい、確実に増えていますね。
WEBサイトなどで弊社を知った方が、たまたまお施主様の知り合いで、「大貫さんなら大丈夫」という話をしてくださっているようです。
また、協力業者様からのご紹介も増えました。協力業者様もさまざまなハウスメーカー、地場工務店と取引されており、選択肢は多いわけですが、家づくりの考え方(「理念・ビジョン」)への理解が後押しになっているのではないかと思います。今後、業者様とのさらなる交流を深めていきたいですね。
協力業者会の名前も決まっています。大久保秀夫塾で学んだ「三方よし」から「ミヨシビルダーズ」と決めました。力を合わせて「三方よし」をさらに実現していきます。
これでもかこれでもか…限界の限界まで考え抜くということ
西野:大久保秀夫塾を通じて、大貫社長のなかで、最も重要である効果を感じている学びとなったことは何だったでしょうか?
大貫社長:数あるなかでも「考え抜く」「やり抜く」という学びが非常に印象に残っています。
常にお客様のために「これでもかこれでもか」という想いで、次の一手を考える。実践して、考えて、実践して…を繰り返す必要性を強く感じました。
体ではなく心、心ではなく魂の決断をする。それはすなわち、自分の理念と照らし合わせて本当に必要なのかを考えるということ、違和感があればやめる。社会のため、お客様のためになるならば、自分の中でとことん考え抜くこと。
有料道路の運転中で、あまりに考えすぎて、出口を通過してしまうこともしょっちゅうでしたし、ガソリン入れ損ねてガス欠したこともありました(笑)。ただ、考え抜くとはそういうことかなと思っています。今は私にとって習慣となり、血肉となっていますね。
西野:考え抜き過ぎてガス欠の話は大久保も知ったら驚きますよ。ただそこまで愚直に学びを実践しているということに驚き以上に喜ぶはずです。
大久保秀夫塾での学びを記録したノート
大貫社長にとってバイブルとなっている
家づくりの全てが「理念・ビジョン」に通ずる
西野:ここまで考え抜かれたことで、お客様に対する提案内容も大きく変わったのではないですか?
大貫社長:自分達の建物が理念と合致しているかどうなのか、「お客様も良し、協力業者様も良し、弊社も良し」の想いで本質から見直し、その結果、お客様への提案内容も変わりました。
例えば、理念の一節で「樹の恵みを輝かせる」があるのですが、木の流通をしっかりさせるべきですし、徹底的に加工方法にもこだわります。その他、断熱性やサッシの性能・構造等、家づくりに必要な要素を分解し、ひとつひとつを見直しました。サッシの会社様の工場を見学した際も、互いの「理念・ビジョン」を照らし合わせたうえで、一緒に組めるか組めないかを考えています。
全てが「理念・ビジョン」と紐づいているから、私自身が腹落ちしていますし、お客様に対しても自信を持って、かつ自然体で提案することができるのです。
西野:まさに三方よし、そしてここまで徹底されていらっしゃることに驚きです。社員様の変化についてもお聞かせいただけますか?
大貫社長:会話するうえで「理念・ビジョン」が共通言語となっており、強く根付いていますから、コミュニケーションが円滑になりました。
弊社で月に一度発行しているニュースレターがありまして、そこに書いてもらう内容、家づくりで使う部材の選別ひとつにしても、弊社の理念に合っているのかを最初に考えています。
西野:社員様も常に「理念・ビジョン」を意識されたなかで日々の活動をされていらっしゃるのですね。それによって、常にブレのない対応が実現され、サービスの改善が図れてるということですか?
大貫社長:はい、弊社では週に1回全体のミーティングを行うのですが、何か選択に迫られた時にも、必ず「理念・ビジョン」に立ち返ります。
「ビジョンがこうだからこうなのではないか?」というような話ができて、迷いがなくなり遂行することができる。会社としての方向性が明確だから、皆が同じ方向を向いていけるのだと実感できますね。
目指す方向は同じ
社会のため、お客様のため…その一心で取り組み続けた結果
大貫社長:「自分が必要とされるために必要なことは何なのか?」を追求し大久保秀夫塾の教えに対して、自分なりに考え抜き、やり抜いたことでお客様・協力業者様から、たくさんの「ありがとう」の声をいただくことができました。すると不思議なことに、弊社の売上にも反映されはじめたのです。
特に今期はそれが如実に表れ、年間売上高2億5千万になります。昨年が約1億1,000万でしたので、倍以上です。宮城県は震災の反動で他県よりもだいぶ落ち着いてきているなかで、来期を迎える前に目標の87パーセントを達成している現状です。
「社会性>独自性>経済性」、「ありがとうの数が成長につながる」話を思い出しましたし、身を持って実感しました。
西野:まさに、大貫社長の取り組みは大久保秀夫の教えそのままだと思います。全国の地方の会社様にとりましても、重要なヒントになるのではないでしょうか。
大貫社長:お越しいただいて分かる通り、弊社のある秋保町は旅館やホテルを中心とした「温泉街」です。もしかしたら、場所を理由に諦めてしまう人もいるかもしれません。けど、場所は関係ないんだなと思いましたね。
現在、弊社でモデルハウスを作っているのですが、地元で名の通った不動産屋が全面支援してくださったのです。「大貫さんに全てお任せします。好きにやってください」と大変嬉しいお言葉もいただきました。これも経営者としての取り組み・姿勢に共感・共鳴してもらったからなのかなと思います。
「類は友を呼ぶ」という教えがありましたが、出会うべくして出会うべき人と出会えるとはこういうことなのだなと感じております。
西野:大貫社長のなかで、しっかりとした軸・本質の部分ができていて、上段で構えながら進んでいけているからだと思いますよ。ぜひ、これからも今の想いを貫き続けてさらに飛躍していただきたいです。
大貫社長:はい、今後は「日本から世界を見るのではなく、世界から日本を見る」ことを実践したいと思います。「弊社なんかまだまだ」ではなくて、「むしろそうだな」という気持ちで。
アンテナを常に張っているので、今まででしたらスルーしていたことも自分事に思えますね。最近聞いた知人の会社の海外進出はとても刺激になりました。
全国で悩んでいる同じ経営者仲間に伝えたいこと
西野:最後にこれから在り方経営を学ぶ後輩に向けてのメッセージをお願いします。
大貫社長:経営者は大なり小なり何かしら悩みを持ちながら毎日を過ごしていると思います。
それを解決させるために、本を買い漁り、いろいろなセミナーに行って学んでも、結局自分にとって何がいいのかが分からず、さらに悩んでいる経営者が多いのではないでしょうか。私もその一人でした。
自分自身のやりたいことをカタチにしていこうと考えたときに、私は「理念・ビジョン」の存在、すなわち在り方経営が大切だと思います。「理念・ビジョン」に対して素直であり続けること、 「三方よし」の日本古来の考えを大切にしていただきたいですね。
大貫建築様本社前にて
編集後記
学生時代は野球一筋だったという大貫社長。明るくて元気で素直=「明元素」の象徴であると共に、名前の通り「大きく貫く」方でした。
「理念・ビジョン」という永久欠番を胸に、常に魂を込めた全力プレーをされていらっしゃる姿が、社員の皆様・お客様・協力業者様…家づくりに関わるたくさんの方の心に刺さっているのだと感じましたね。私自身も取材を通じてたくさんの刺激をいただきました。仙台から世界へ、大貫建築様の今後から目が離せません。
(2017年4月取材時)