並木さんの本気の情熱で社員の意識が変わった けど一番変わったのは社長である自分だと思います

会社名

株式会社たかふね工業

所在地

愛知県名古屋市中川区

設立

1953年(昭和28年)1月

事業内容

1:自動車部品製造
2:各種板金加工
3:建築資材の販売
4:保安器材用品の販売

従業員数

50名

愛知県発、何でも作れる「メーカー思考型企業」で変化に立ち向かう

愛知県名古屋市中川区で自動車部品製造、各種板金加工を中心に事業を展開されている株式会社たかふね工業様(以下たかふね工業)。

昭和28年の創業以来、お客様に強く必要とされる存在になることを目指し、たかふね工業グループでしか提供することができない価値を追求し続けました。その結果が200社以上の取引先からの支持、そして2,000種以上の取扱品目につながっています。

現在、代表取締役を務める石井文浩社長は3代目。これまで顧客目線を重んじつつも、一方で企業を存続させるためには「お金」の方が大切だと思っていたとのこと。そんな中、フォーバルのアイコン担当から案内されて参加した大久保秀夫の講演会、そして次世代経営塾では数々の衝撃が。さらに、その後のコンサルティングを通じて、大きな価値を得ることができたと言います。それらは一体何なのでしょうか?話をお伺いしました。

業界・会社…共通する課題は一言でいうと「人」

フォーバル コンサルタント 並木 宏史(以下並木):本日はお時間をいただきましてありがとうございます。早いもので、御社のコンサルティング支援を開始してから約1年半。次世代経営塾やフォーバル全体で考えますと、それ以上のお付き合いになります。

いろいろとお伺いしていきたいと思うのですが、まずは、コンサルティング開始前において、業界の抱える課題は何だったかを教えていただけますか?

たかふね工業 石井 文浩社長(以下石井社長):当時も今も、業界としては少子化問題が挙げられますね。何も手を打たなければ、市場全体が縮小していくわけですから。現在、たかふね工業として展開している事業も、放っておけば確実に影響していくでしょう。

並木:少子化問題は確かに大きな課題ですね。言うならば、業界を超えた日本全体の問題とも置き換えられます。その中で、御社の課題は何になりますでしょうか?

石井社長:社長以下、メンバーが横並びになっていてピラミッド型組織になっていないことです。これは中小企業の多くに言えるのかもしれませんが、組織化を目指すにおいて、必要とされる幹部や中堅社員が思うように育っていないことが課題になります。

あとは賃金体系。たかふね工業はこれまで中途採用が多かったため、主に前職の経験を踏まえて賃金を決定していました。現在は、新卒採用を中心に行っているため、将来を考えた場合においては、明確な賃金体系を設けなければなりません。

並木:業界・会社、共通している課題は「人」ということですね。

信頼できる人たちのおかげで次世代経営塾と出会わせてくれた

並木:業界・会社内でさまざまな課題が噴出していく中で、次世代経営塾への入塾を決意されました。入塾に至った経緯について教えていただけますか?

石井社長:きっかけは、大久保秀夫会長の講演会です。当時のアイコン担当の方から案内をされました。「滅多に聞けないから参加すべきですよ」と。

石井まり取締役(以下、石井様):当時のアイコン担当の方は、たかふね工業のために本当に尽力してくれた方で信頼していました。その方が言うのであれば素直に受け入れようって、それで参加したのです。

並木:なるほど、実際に講演会に参加をされていかがでしたでしょうか?

石井社長:大久保会長からは、言い表せられないほどのオーラのようなものを感じました。そして、話されている内容も驚きました。特に「社会性」「独自性」「経済性」のお話しが印象に残っております。参加して良かったと思いましたよ。

株式会社たかふね工業 代表取締役
石井 文浩 様

並木:ありがとうございます。その後、石井社長は次世代経営塾へ入塾されていらっしゃいます。これは講演会の内容に満足し、もっと学びたいと思ったから決意されたのでしょうか?

石井社長:確かにそうではあるのですが、講演会から入塾を決めるまでには引っ掛かることがありまして、かなり悩んでいました。

並木:石井社長が引っ掛かっていたこととは何ですか?

石井社長:「社会性に重きを置く」と言うことです。私は先代からは「経営は結果がすべて、つまり数字(=経済性)」と教えられてきました。実際に私も長年に渡ってそう思っていましたから。どれだけきれいごと言ったって、お金がなくなれば企業は存続できないわけで。

一方で、社会性の大切さも理解していましたつもりです。そのような会社を世間がつぶすことはないでしょうし。先代もそれらしきことを言っていたことも記憶しています。

ただ、社会性を経済性よりも先頭に持っていくことへの怖さがありました。非常に勇気がいることだなと。自分だけではなく、社員一丸で取り組んでいかなくてはなりませんし。そういった意味で、講演会だけで入塾を決めることはできませんでした。

並木:確かに、社会性を先頭に持ってくることは容易ではないですよね。それでも最終的に入塾を決断された決め手は何だったのでしょうか?

株式会社フォーバル コンサルティングディビジョン
コンサルタント/リーダー 並木 宏史

石井社長:大久保会長と直接話す機会があり相談しまして、その時に大変心強いお言葉をいただきました。それで決意できましたね。信頼できるフォーバルのトップの方が、ここまで言ってくれるのであれば挑戦してみようと。できないことを考えるよりも、まずはやってみようって。

並木:人に関する課題をお持ちである一方で、信頼できる人たちの後押しもあって、次世代経営塾の入塾が決断できたのですね。

次世代経営塾の学びを自然に現場へ浸透させるために…コンサルティング開始

並木:悩みに悩んで決断された次世代経営塾、約半年間でしたが、改めて振り返ってみていかがでしたでしょうか?

石井社長:人に関することをはじめ、いろいろと悩みがあったのですが、総じてそれらが全てクリアになりました。非常に大きな学びでしたね。入塾して良かったと思っております。

並木:ありがとうございます。次世代経営塾での学びの後に、コンサルティングを受けることも決断されました。石井社長の狙いは何だったのでしょうか?

石井社長:私は、この学びから得たことを、いかにして社員へ浸透させるかが、今後のたかふね工業において重要だと考えました。社長と社員のギャップを、力尽くではなく、自然に徐々に埋めていくうえでは、コンサルティングの力が必要だと感じたのです。

次世代経営塾で得た学びを
全社員に浸透することが重要だったと石井社長は振り返る

目指す姿に向かって生じるさまざまな課題に、一丸となって立ち向かう

並木:コンサルティングを開始して約1年半。最初は石井社長の想いをカタチにするために、100年後の会社を創る「100年未来予想プロジェクト(以下100プロ)」を通じて、事業計画策定支援を実施しました。

その後は、浸透させるための支援。経営計画発表会では、石井社長から直接これまでの感謝の気持ちや、これからのたかふね工業について全社員へ伝え、その後は選抜メンバーに対する合宿研修、そして人材育成・人事評価制度に関する仕組みづくり、毎月の幹部会への同席・ファシリテーションを行ってきました。

改めて、振り返った時に感じられた変化がありましたら教えていただけますでしょうか?

石井社長:変化で言いますと、フォーバル(並木さん)は、これまで見えていなかった課題を次々と見えるようにしてくれました。

例えば5Sの話にしても、私たちの中で完璧と思っていても、並木さんが常に違った角度で見てくれることで新たな気付きが生まれる。さらには言いっ放しではなく、解決への道も提示してくれます。

並木:こちらについては、石井社長や石井様、さらに部門長をはじめとした皆様の想いが明確になったことが非常に大きいです。

「こうなりたいんだ」というビジョン、たかふね工業のユニフォームを着た時に誇らしげに自慢できる会社を目指そうという目指す姿が、話し合いを重ねていくにあたってハッキリしました。

これらがハッキリすればするほど、現状とのギャップ(課題)もより見えやすくなります。そして目指す方向が同じですので、課題解決に向けた協議もよりスムーズになり、次のステップへと進むことができるのです。

目指すべき姿がハッキリしたことで
実現に向けた課題が見えてくる

魂を込めて向き合ってくれたから自分たちも本気になれて、結果につながった

石井社長:あとは数字面の変化で言うと、11月が弊社の決算になりますが、並木さんもご存知のとおりの成果でした。一言で成功したと言えます。

なぜ成功したのかを考えた時に、並木さんの魂の込められたコンサルティングが大きかったですね。常に1人1人の社員に対して向き合ってくれて、私と社員のギャップを埋める努力をしてくださった。その想いと行動に、社員の意識が明らかに変わった。

今期の決算が良い結果で終われた大きな要因として、社員と並木さんの強い信頼関係があったからだと感じています。

弊社はこれまでも、何社かのコンサルタントに入っていただいたことがありましたが、この部分が圧倒的に違ってまして、社員は並木さんが弊社に来ることを楽しみにしているのです。これは本当に凄いことであり、大切だと思います。

石井様:今、社長も言いましたが、並木さんの現場への入り込み度合、熱量はすごいものがありました。部門長はじめ社員にも伝わって、信頼関係が醸成されていったのだと思います。

私自身も「並木さんがここまで本気なら、私自分ももっと本気で頑張らないといけない!」という気持ちになりました。これまで躊躇していたことにも挑戦しようって、覚悟も持って仕事に取り組めていますし、良い意味でとても影響を受けています。

並木:本当にありがとうございます。石井社長の想いを実行するのは、社員の皆様です。だからこそコミュニケーションを大切にし、本音で接していくことは意識しておりました。

常に本音で向き合い、時には厳しく魂を込める姿勢に、
現場の意識も大きく変わった

社長である自分自身が一番変わったということ

石井社長:会社が変わるには、社長が変わらないといけないと言われていますが、この1年半で私自身が一番変わったって思っています。

100プロの発表の時に、社員みんなが私の話に感動して涙を流してくれた。その姿を見て私も感極まる…あのようなことは初めてのことでしたし、あの辺りを境に私の中で変わり始めたのかなと。

以前、大久保塾長からも「社長が本気で社員の前でビジョンを語れば、社員にも必ず伝わり泣くぞ」と聞いていましたが、当時は心の中で「そんなの嘘だろう」って思っていました。

けど、それが本当に現実になって驚きましたね。あの時泣いていなかったのは並木さんだけでした(笑)。

並木:いやいや、私も泣いていましたよ(苦笑)。それだけ石井社長の想いが込められた、本当に素晴らしい発表内容でした。

石井様:自分が働いている会社の社長が掲げるビジョン、社員への想いを熱く語り、そこに全員が希望を感じて、一丸となって進んでいくことが社員のやりたかったことなのかなと思いましたし、もっともっといい会社にしていこう、いやなるんだという気持ちがさらに高まりました。

石井社長が掲げる目指す姿に向かって
もっと良い会社にしていくんだと石井様は熱く語る

世の中のために、さらなる未来へ…今後もフォーバルと共に併走する

並木:最後のご質問になりますが、今後のフォーバルに期待することはございますか?

石井社長:私たちは、今後もさまざまな変化に立ち向かっていく必要があります。変化はチャンスと考え、現状に満足せずに、世の中のためにさらなる挑戦をしていかなくてはなりません。

例えば、航空機は今後グローバル化の発展に伴いさらに求められてくるはずですし、さらに少子化が進めばロボットへの期待も高まっていきます。

また、高齢化が進めば医療に対するニーズが増えますので、社会性を考慮し企業として対応することが必要と考えます。

環境も、中国や東南アジア等、日本に比べたらまだまだ意識が低いところが多い。そこにたかふね工業のチャンスがあるのではないかと考えます。

より一層独自性に磨きをかけていくための組織力の強化。また、人材においても階層によって、特に中堅社員あたりで理念・ビジョンの理解浸透の差が生じる恐れがあるので、そこをしっかりとコンサルティング支援していただければなと思います。

並木:かしこまりました。石井社長の仰るとおり、実際に若手メンバーの底上げがさらなる会社の成長につながっていきます。

社長や部門長から見ても「彼は、彼女は成長したな、部下を任せよう」って思ってもらえる人材の研修を行っております。考え方レベルでは一定の水準に達してきており、今後はいかにして自発的に行動できるかです。

誰かに依存するのではなく、部門長・中堅社員・若手社員、それぞれが自分自身で考えて行動することができる人材を育成することがポイントになってきます。

インタビュー当初で、石井社長が仰っていたピラミッド型組織が、より一層強固なものになるはず。表面上の組織形成ではなく、中身の部分にまで踏み込んで支援していければと思います。共に目指す姿に向かって走っていきましょう。

石井様:仰るとおりですね。あとは、いつまでも並木さんに頼りっぱなしでもいけないので。しっかり私たちだけで進めていけるよう、意識していきながら進んでいきたいと思います。引き続き宜しくお願いいたします。

並木:こちらこそ宜しくお願いいたします。

エントランス前にて

編集後記

石井社長と石井様のお話しで非常に印象に残ったことが3つあります。

ひとつ目が「社会性に舵を切ることへの怖さ」。これは私にとりましても非常に深い言葉でした。
これまで取材させていただいた経営者の方たちも言葉にはしませんでしたが、心のどこかで思われていたのではないかと感じました。しかし、最終的に決断し実行に移された方が成功しているのも事実。怖さ以上の強き想いで立ち向かわれた石井社長の勇気にしびれました。

2つ目は「並木さんがここまで本気なら、私自身も本気で頑張らないといけない」。
以前大久保秀夫は「フォーバルのコンサルティングは孤島の開業医のような魂を持って、泥臭く向き合い続けろ」と話していたのですが、それを並木自身が実践し、社長・幹部・社員に魂が伝わっている話を聞いた時に、ただただすごいと思いましたし、感動しましたね。

最後の3つ目は「会社が変わるには社長が変わらないといけないわけで、私自身が一番変わったなと思っています」。これ自体、簡単ではないことではないわけで、さらっと言い切る石井社長の姿に非常に驚きましたし、並木への信頼の高さを感じました。

今までも変化に柔軟に対応し続けてきたたかふね工業。石井社長を筆頭に、一致団結して目指す姿に向かって共に併走していきながら支援していければと思います。
(2017年12月取材時)