人財採用成功事例:人財定着にも必要な理念とビジョン
会社名
株式会社クラタ
所在地
神奈川県横浜市保⼟ヶ⾕区岡沢町365番地
創業/設立
平成11年7⽉
事業内容
⾃動⾞⾞体製作、⾃動⾞の塗装、艤装、⾃動⾞部品製作及び販売
従業員数
38名(取材時点)
採用がうまくいかない・・
クラタ社は日々の会社の数字(売上、利益)をほぼベテランの社員が作り上げている状態でした。
10年先を考えるとほとんどの社員が定年で現場を退くことが見えており、会社として若返りを図ることが喫緊の課題と考えていました。
ただ、いくら施策を講じてもなかなかうまくいかない状況が続きました。
紙面広告やWebサイトはあたりまえ、ときには大手求人サイトに毎月数十万ほどの広告費をかけても採用がゼロ、、たまに応募は来ても高年齢の方で、本来来てほしかった20代の若手の方からの応募は全くナシ、そんな状況が続いていました。
採用がうまくいかないのは会社としての
「軸」「目指す方向」がないから
どんなに採用についての施策を講じてもうまくいかない理由の1つに会社としての「軸」「目指す方向」がないから、という課題が見えてきました。
「軸」というのは理念、「目指す方向」はビジョンを指します。
会社としてどのような軸を持って意思決定、すべきこと、やめることなどの経営判断をするかは理念に基づいて実施します。また、経営を行いどのようななりたい姿、あるべき姿になっていくかの未来イメージはビジョンに沿って進んでいきます。
これから働く会社がどのような理念を持っているか、今後どのような会社になっていくかのビジョンがない会社(どういう会社で今後どう成長していくか、この会社にいたら自分はどのような人間になれるのか)で働きたいと思うでしょうか、ずっと働いていたいと思うでしょうか?
クラタ社の大きな課題の1つはこれでした。
そこで企業理念、ビジョンの策定、そしてそれの社内への浸透、を当社がサポートすることになりました。
※理念にも種類がありますが、今回当社がサポートしたのは企業理念の策定です。
理念策定から浸透までを支援
今回以下の取り組みについて具体的にサポートをいたしました。
・企業理念、ビジョン、行動指針の策定
・ビジョン実現のための経営計画作り
・計画の実行支援(半期に1回の全社員集合での会議企画実行支援)
・計画実行のための施策
1.企業認定取得
2.育成の仕組み作り(技能マップ、育成カリキュラム)
3.リーダー育成のための会議体運営
もちろん一朝一夕にはできず、長い時間をかけて、社長と共に二人三脚で作り上げていきました。
また、このような理念やビジョンは作ることも大変ですが、作るのはあくまでスタートラインでその後の従業員への浸透が大切です。(きちんと従業員に浸透していない理念、ビジョンは経営者の自己満足になってしまいます)
会社が1つになるまでの苦労
理念を創る、ビジョンを創る、それを浸透させる。
言葉で書くと簡単ですが、実際に成果が出るまでの苦労は山のようにありました。
日々の業務で追われている中でこれからの未来のことを話しても聞く耳を持たない従業員、反発して会議に出席しない、中には退職してしまう従業員もいた・・・
そのような状況で社長自身も会議や勉強会を開くことに前向きになれない時期もありました。
ただ、そこで目を背けたら何も始まりません。ここで従業員に真っ向に向き合うのが経営者の仕事です。
当社のサポートもあり、施策は少しづつ進み、社内の協力者も少しづつ増え、会社自体も少しづつ変化していきました。
支援結果と変わったクラタ
2017年から当社での支援をはじめ、これまでに出た結果は以下の通りとなります。
①企業認定取得
神奈川県優良工場表彰、神奈川がんばる企業2018の認定を取得することができました。コーポレートサイトにも掲載し、自社の紹介にも活用することができるようになりました。
②社員数増加と平均年齢の引き下げ
策定した理念や行動指針等をWebサイトを中心に対外的に発信していくことで本来来てほしかった若い人材からの応募、採用が増え、新卒者が毎年入社するように。定年退職者の数より入社する数の方が増え、結果、全体の社員数が増加し、平均年齢は徐々に下がり会社全体の年齢構成も変わりました。
③社員の待遇改善、過去最高売上を更新
社員の待遇改善として
・決算賞与を3年連続で支給
・全従業員で有給取得5日以上取得
・傷病休暇制度等の働く環境の整備
会社全体で目指す方向が合致すると業務に一体感やスピード感が出てきます。
その影響で人の問題が解決しただけでなく、業績も改善。
決算賞与の支給や安定した有給取得等も進みました。
本事例について、株式会社クラタ 代表取締役社長の加瀬様にインタビューした動画があります。
当時の課題やどう会社が変わってきたのかを赤裸々に語って頂いているのでぜひ動画もご覧ください。
編集後記
経営において理念、ビジョンが重要というのはある程度一般的に知られていることかと思います。
ただ、重要というのは分かりつつも、つい後回しになってしまう、作ったはいいが会社全体に浸透できていない(活用できていない)ケースが多いのも事実かと思います。
課題も数多くあったと思いますが、クラタ様はそこにしっかり向き合い、課題であった採用、また収益にも好影響を与えた事例かと思います。
ぜひ他の会社様のご参考になれば幸いです。
(2021年7月本記事執筆時)