会社名

丸丹スポーツ用品株式会社

所在地

愛知県名古屋市中区

設立

1947年(昭和22年)

事業内容

1. スポーツ用品販売
2. 各種スポーツ施設の企画、設計のアドバイス
3. 各種スポーツ施設の付帯備品、器具の販売

従業員

15人

スポーツを通じて愛知県と共に70年

昭和20年8月、名古屋市内は激しい空襲により見渡す限りの焼け野原と化していました。先の見えぬ状況のなか、名古屋の未来を担う少年たちがスポーツで笑顔を取り戻すために、スポーツ用品を通じて貢献したい想いを胸に、昭和22年3月に合資会社丸丹運動具店を設立。設立に携わった辻本俊之氏が初代代表取締役に就任、同月名古屋市中区にスポーツ用品丸丹をオープンしました。

オープン後、名古屋のスポーツの発展をスポーツ用品やテニス教室などを通じて支え続け名古屋と共に成長。昭和46年10月には丸丹スポーツ用品株式会社(以下、丸丹スポーツ用品)に社名変更、その後も数々の試練を乗り越え、平成29年に創業70年を迎えた名古屋を代表する老舗スポーツ用品店です。

平成29年に3代目として代表取締役社長に就任した藤本忠様は、ご自身が専務取締役時代の平成27年に次世代経営塾名古屋2期生として、フォーバル流888の法則(現:王道経営)を学ばれております。入塾に至った背景は一体何だったのでしょうか?創業時から経営塾を通じての変化などを含め、取材をさせていただきました。

創業70年を超えたタイミングで継承…次に意識するのは100年

フォーバル 副ディビジョンヘッド 赤羽 聡(以下赤羽):本日はお忙しいなかありがとうございます。

昭和22年に設立されてから70年を超えられたとのこと、統計上では50年以上続く会社の確立は数パーセントだと言われています。私たちフォーバルも丸丹スポーツの半分ちょい(40年弱)ですから。とても大変なことですし、誇らしいことだと思います。

丸丹スポーツ用品 藤本 忠社長(以下藤本社長):ありがとうございます。ここまで来ることができたのは、数えきれない方々の支えがあってのことです。70周年の記念誌を作成したのですが、先代も一言で「感謝」と表現していました。

赤羽:なるほど、先代の「感謝」にはいろいろな想いが込められているのでしょうね。藤本社長は3代目として丸丹スポーツ用品を継承されました。まだ年齢もお若いですし、100年という数字は意識されていらっしゃるのではないですか?

藤本社長​:それは意識していますね。大きな節目になりますし、もちろん80年、90年も大切ですが、やはり100年は特別なものがありますし、私が丸丹スポーツ用品を100年企業にさせる使命があると思っています。

marutan-1_2

丸丹スポーツ用品株式会社 代表取締役
藤本 忠 様

経営理念の必要性を教えてくれた、大久保秀夫との出会い

赤羽:藤本社長は平成27年に次世代経営塾に入塾されたわけですが、きっかけは何だったのでしょうか?

藤本社長:きっかけは平成27年の大久保塾長の講演会でした。OA周りを見ていただいていた当時のフォーバル担当の方に紹介してもらいまして。こんな機会はなかなかないとのことでしたので、勉強させてもらおうという気持ちで参加しました。

赤羽:実際に講演会での話を聞いて、いかがでしたか?

藤本社長:とても良かったです。いろいろな話がありましたが、特に経営理念の必要性が印象に残っています。丸丹スポーツ用品は、講演会参加当時で68年やってきたわけですが、そこに経営理念というものがあったかというと明確なものはなかったのです。

当時私は専務取締役でしたが、次期後継者としての自覚を持っておりまして、近い将来自分が社長になるうえでは経営理念を作らなくてはならないといけないなと感じました。講演会終了後に次世代経営塾のことを知り、入塾することを決めました。

赤羽:なるほど、経営理念という丸丹スポーツ用品としての経営の軸を持つ必要性を感じたことが大きな決め手だったのですね。

次世代経営塾の学びで100年企業への課題が明確に

赤羽:藤本社長が参加された次世代経営塾は、平成27年9月から2月までの半年間に渡って行われました。卒業されてから約3年が経過しましたが、当時を振り返り、今でも印象に残っていることはありますか?

藤本社長:そうですね、本当にたくさんあるのですが、最初に浮かんだのが「企業は存続させなくてはならない」ということ、これは特に印象に残っています。あとは会社としての方向性を示す経営理念や100年ビジョン、実現させるための計画や決め事が必要であるということも印象に残っていますね。

丸丹スポーツ用品は、確かに70年近くやってきましたが、このような考えはなく、目先のことへの対応の繰り返しでした。もちろんその時は全力でしたし、これまでも先代と社員が大なり小なりさまざまな山を乗り越え続けてくれて今があるわけですから、過去の全てを否定しようとは思いません。

一方で、自分が未来の丸丹スポーツ用品を創りあげていくのだと考えたときに、大久保塾長の話しはとても刺さるものがありましたし、同時に危機感を感じました。今までは良くてもこれからはいけないのだと。

スポーツにおいても具体的なゴール(目標)を定めているチーム・プレイヤーは強いですし、明確なルールがなければ試合が成り立ちませんからね。経営も一緒なのだなと感じました。

赤羽:100年企業になるうえで、これからの30年の課題と取り組むべきことがより見えたと言うことですね。

藤本社長:はい、その場その場の経営ではこれからは難しくなると気づかされ、近い将来、自分が丸丹スポーツ用品を継承してからの進むべき方向性が見えましたし、まだまだ勉強しないといけないと思いました。

もし私が当時次世代経営塾を受講していなかったら、その後の社長就任後の心構えが全く違っていたはずです。

目に見える成果、そして解決困難な課題に立ち向かう

赤羽:次世代経営塾を卒業されて3年以上になります。藤本社長のなかで変化したこと、実践されていることはありますか?

藤本社長:会社を存続させるために何が必要か…を考えたときに、辿り着いたのが人でした。と言いますか、これに尽きるのではないかと思うのです。何をやるにも社員1人1人の力が必要不可欠であるわけで、社員を大切にするという想いの変化は感じています。もちろんこれまでも大切にしていたわけですが、同じ目線で当たり前のことをもっと当たり前にやると言いますか、私のなかで意識がさらに大きく変わったかなと思います。

丸丹スポーツ用品は役員陣除いて、社員が11名いるのですが、10年以上勤務が8名になりました。そのうち4名は20年以上勤務しています。8名のなかには新卒で丸丹スポーツ用品に入社した社員もおります。売上等の数字に関しては明確な数値はお話できませんが、堅実に推移している状況ですね。

10年以上勤務11名中8名は凄いですね。3年以内で辞めてしまう社員がたくさんいるなかでとても素晴らしいと思います。

藤本社長:自分のなかではそれが当たり前だと思っていたのですが、他の経営者仲間に話すとかなり驚かれます。こうして振り返ると、企業永続において人の存在が欠かせないわけで。

一方で、次世代経営塾の学びの実践にあたって、困難なことも見えてきました。それは70年以上明確なゴールもルールもない状態でやってこられたこと、さらに10年以上勤務の社員が増えれば増えるほど、新しい変化を受け入れにくい状況があることです。このような状況のなか、次世代経営塾で学んだことを実践していくのが思い通りにいかなく、四苦八苦しているのが正直なところです。

これまでの経験から、良いタイミングで経営施策を行う重要さは分かっていますので、少しずつ準備を進めながら、タイミングを見て実践していこうと感じています。

赤羽:確かに難題ですね。この場合どうしても個の力では限界が生じます。藤本社長が次世代経営塾で考え抜いた理念をもっと社員1人1人に語ることが重要ですが、この辺りは私たちもさまざまなケーススタディを持っておりますので、1人で抱え込まずにご相談いただければと思います。

藤本社長:ありがとうございます。卒業から3年以上が経ちました。これも正直な話ですが、その場ではなるほどと思っても、時間の経過と共に風化していってしまいます。今なお私の中に根付いていることがまだあること、大きな学びであったのだと感じますね。

70周年記念での集合写真
社員の半分以上は10年以上勤務

新たなチャレンジのために…方向性を定め土台を固める

赤羽:最後に、今後の丸丹スポーツ用品の展望について教えてください。

藤本社長:繰り返しですが、私が丸丹スポーツ用品を100年企業に必ずしてみせますし、しなければなりません。そのためには過去のレールに頼らずに新たなレールを敷いていく事が必要です。

例えば、スポーツと健康は切っても切れない関係ですので、現在健康にフォーカスした新事業へのチャレンジを検討しております。一方で先ほどお伝えした課題もあるため、順番的にはまずはそれを解消させ、方向性をしっかりと定めて土台を固めてから社員と共に進めていければと考えています。それが次世代経営塾での学びをさらに実践に移すことにも繋がるはずです。

赤羽​:おっしゃる通りです。本日はありがとうございました。引き続き宜しくお願いいたします。

丸丹スポーツ 栄東店入口にて

編集後記

愛知県と言えば、数多くの名アスリートを輩出した地域。日本が誇るプロ野球選手の出身地も愛知県であり、かつて丸丹スポーツ用品との接点もあったという点から、まさに愛知県発、日本のスポーツを陰で支えてきた存在と言っても過言ではありません。そのような歴史ある会社を継承し、存続させることはこれ以上ない重圧がありますが、藤本社長は悩みながらも常に前を向かれている姿勢が印象的です。

また、藤本社長のお話を伺うなかで、広い視野をお持ちであると感じました。それは経営塾での学びから3年経過しているにも関わらず、どうすれば社員への理解が得られるのであろうか、そのタイミングを考え続けていたこと。経営者でありながら、社員目線も持たれている。その結果が社員の長い勤務年数に繋がっているのだと思います。

編集後記を記している2019年10月、ラグビーワールドカップが開催中のなかで感じるのは「One for all, All for one」「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」。丸丹スポーツ用品の100年を目指し、一致団結になるための支援ができればと思います。引き続き宜しくお願いいたします。

(2019年8月取材)

次世代経営塾について

藤本社長が受講された次世代経営塾は年1回の頻度で開催しております。開催内容、開催時期などにつきましては次世代経営塾のページを参照ください。その他お問い合わせは以下よりお気軽に連絡いただければと思います。