労働時間削減の手法

このように、長時間労働の是正は社員の健康促進につながり、まさに働き方改革につながるものである。

ここで、その長時間労働の是正に向けて中小企業が具体的に取り組んでいることについて聞いてみた結果を示してみる。

1034社中、最も多くの企業が選択したのが「業務の効率化(業務棚卸しによるムダな業務の削減)」であり、486 社であった(46.9%の企業が選択)。労働時間削減に向けて、この業務の効率化が最も効果的であると考える経営者が多いことがわかる。

「業務の効率化」に類するほかの選択肢に「IT 機器導入による業務の効率化・自動化」があり、それは154 社が選択した。人手不足の中、さらに長時間労働の是正が求められる状況で、人ではなくIT や機械を活用した業務の効率化は、今後も一層社会の各所で進められていくと予想される。RPA(※8)やクラウド管理などの技術は進歩し続けている。

続けて多かったのが「従業員の意識改革(教育)」の284社、「人を増やす(採用)」の269社である。それぞれ、選択した企業の割合は27.5%、26.0%であった。両選択肢とも「人」に注目した施策である。従業員教育を通して意識改革を進め、そして採用活動を通して人材の確保も進める。こうした人への投資を進めつつ長時間労働の是正も進めることの意義を、多くの経営者が考えていることがわかる。

長時間労働の是正は、社員の働き方改革に直結し、会社の人材確保につながります。 貴社ではどのようにして労働時間を削減していこうとお考えですか?(

※8:RPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務自動化)は「デジタルレイバー」や「仮想知的労働者」などともいわれる。事務作業など、これまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をロボット技術で自動化すること。品質を
落とさずに比較的低コストで、かつ短期間で導入できる。

「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」(総務省情報流通行政局)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

ブルーレポートの発行者

株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム

フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。

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