ICTによる生産性向上と組織改革

では、こうした技術を取り入れることによりどんな効果があるのかについて考えてみたい。

下記は総務省の情報通信白書に示された、「国内企業がICT により解決した経営課題の領域」に関するグラフである。

国内企業がICTにより解決した経営課題の領域

これによると、国内企業がICTを導入することにより解決されたと考えているもののうち、もっとも多かったのは「業務プロセスの効率化(省力化等)」であった。さらに「迅速な業務把握、情報把握」「開発・運用コストの削減」「ビジネスモデルの変革」と続いている。

同白書によると、業務プロセスや業務・情報把握などを「プロセス・イノベーション」と位置づけ、「ビジネスモデルの変革」といった「プロダクト・イノベーション」よりも上位にあることに注目している。プロダクトも重要だが、プロセス面も含めた多様な活用が今後は重要になるとの考えがあるためである。

それを裏付けるような結果が、同白書内の「ICT による生産性向上の効果(※8)」の箇所で示されている。

これによると、労働生産性の上昇効果は「業務プロセスの効率化」で2.5倍に、また「製品・サービスのコモディティ化(一般化)」の課題に対して、「既存製品・サービスの高付加価値化」「新規製品・サービスの展開」では4.0倍という高い結果がみられた。すでにある業務を効率化するよりも、「ビジネスモデル改革等に基づく付加価値向上という“攻めの”ICTによる労働生産性の上昇効果が大きいことが分かった」としている。

情報通信白書では、業種や企業規模等によっては必ずしも一様に効果が見込まれるものではないとしながらも、「今後企業が直面する様々な経営課題に対しては、ICT による解決領域を多面的にとらえるとともに、組織改革をはじめ、効果を最大化する取り組みを行っていくことで、継続的に生産性向上を図ることが望ましい」とまとめている。

情報通信白書「ICTによる生産性向上の効果」(総務省、平成30年)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd132400.html



ブルーレポートの発行者

株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム

フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。

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