続けて、第三者認証の取得に関する質問を行った。
第三者認証とは、自分たちではない第三者によって審査を受け、認証される制度のことである。扱われる領域はいろいろとあるが、有名なものでは「日本工業規格(JIS)」や「ISO」などがある。
最近重要度がますます高まっている個人情報分野では「P マーク(プライバシーマーク)」もよく耳にするものだ。
こうした第三者認証は、外部機関が審査し、認証をすることにより、公正で、客観的に判断されているとのお墨付きが得られることで、取引を進める上で相手に好印象や安心感を与え、エンドユーザーに対しても「しっかり対策をしている企業」であるとの印象を伝えることが可能になる。
特に新規の顧客の場合、実績がない代わりに外部機関からのお墨付きがあることで契約がスムーズに進む可能性もある。
この第三者認証について、経営者にそのメリットについて認知しているかを聞いた。
「知っている」と回答したのは800社(1508社中・53.1%)であった。
約半数しか認知していないのは少ないのではないだろうか。「JIS」や「ISO」については見聞き
したことがある経営者も多いであろうが、メリットまで考えたことがない経営者が多い可能性が
ある。
続けて、実際に第三者認証を取得しているかどうかを問うと、「している」と回答したのは168
社(同・11.1%)で、9割近くの企業が取得していない実態がわかった。
ここで「している」と回答した168社に対し、その理由を聞いてみると、他を圧倒して多かったのが「取引先からの信頼性の向上」の112社(66.7%)であった。
実際に取得している経営者は、「取引先からの信頼性の向上」について認識していることがわかる。
さらに、第三者認証の取得を「していない」と回答した経営者に対し、その理由を聞いた(複数回答)。
最も多かったのが「メリットが感じられないので取り組むつもりはない」が多く、515社(1340社中・38.4%)であった。取得する意思がないという回答である。
ただし、続く「なにから手をつけたらよいかわからない」「取り組む時間がない」「取り組む人員がいない」「取り組むお金がない」など、明確に取得しない意思があるわけではなくても、他の要因で取得にまで至っていない企業の姿も垣間見える。
第三者認証を取得することは、取引先からの信頼性の向上のみならず、様々なステークホルダーに対するPR につながり、かつ信頼性のある商品や情報管理への意識の高さなど、他社との差別化をアピールできるポイントでもある。
特に今後の情報化社会、超スマート社会においては、日常的に顧客情報を様々なデバイスで管理することや、ビッグデータの利活用など、情報を扱う機会がますます増えると予想される。
また顧客管理情報の取り扱いが企業の命運をわけるほど、厳しい情報管理が求められる社会となるだろう。
自社のステータスを上げ、アピールを行っていく上でも、これからますます第三者認証に対する関心、ニーズは高まっていくと考えられる。現段階では、調査結果のように実際に活用している企業は少ないが、導入を検討することをお勧めしたい。
ブルーレポートの発行者
株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム
フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。