社員教育に取り組むつもりがないと回答した企業の理由

社員教育に取り組むつもりがないと回答した企業の理由

ここまで社員教育をしている企業に対し、具体的な取組みや今後のニーズなどを聞いた結果について述べてきたが、ここでは、現状社員教育をしている企業のうち、「今後は社員教育で取り組んでみたいものがない」と回答した企業(210社)について取り上げることにする。

今後、社員教育で取り組んでみたいものがないのは、どんな理由からですか?

上のグラフは、「今後取り組んでみたいものがない」とする理由について聞いた結果である。

「今の取り組みで十分」と回答した企業が127社(210社中・60.5%)で他を圧倒した。その他、今以上に予算をかけたくないと回答した企業が47社(同・22.4%)、同じく時間をかけたくないと回答した企業が21社(同・10.0%)、その合計が32.4%に及んでいる。

現状の取り組みで満足していること、また時間的・経済的な理由から社員教育に積極的になることのできない企業の姿がうかがえる。

上記設問に関連し、労働政策研究・研修機構の調査「人材育成・能力開発における現在の課題」について見てみると、最も回答数が多かったのが「指導する人材が不足している」の33.2%、続いて「人材育成を行う時間がない」の32.7%であった。

人材、時間の不足が課題だとする経営者が多いことがわかる。金銭的余裕がないとの回答は17.7%となっている。「鍛えがいのある人材が集まらない」(30.7%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(29.5%)という、教育をされる側の問題だと捉えている経営者も多い。

人材育成・能力開発における現在の課題(複数回答)

人手不足状況が続くと予想される中、いかに人材を効率的に活用していくかが今後の生産性向上の達成には不可欠な要素である。

その人材活用に向けては、「社員教育」はとても重要な手法であると考えられる。調査結果からは、多くの企業が社員教育に関心を持っていることがわかるものの、予算や時間の制限や、どうしてもOJT に頼りきりになってしまう現状も垣間見える。いかに効率的に社員教育を実施していけるかは、中小企業にとって今後も大きな課題となっていくだろう。

ブルーレポートの発行者

株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム

フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。

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