社員教育にかける年間予算

ここでは、社員教育にかける年間予算について述べることにする。

既述の通り、社員教育の手法として最も活用されているのは「OJT」であった。さらに社内研修が続くなど、社内のリソースを用いた教育を行っている状況がうかがえた。

では中小企業は社員教育に対し、どの程度の予算をつけているのか。ここでは、社員教育を実施している企業(637社)に対し、社員教育に向けた一人あたりの年間予算に関する調査結果を示すことにする。

最も多かったのは「10,001円~30,000円」の範囲で、169社(637社中・26.5%)となった。

しかし続く2枠も同じようなスコアであり、「1~10,000円」が149社(同・23.4%)、「0円」が143社(同・22.4%)であった。この3つで72.4%を占めている。

厚生労働省の「能力開発基本調査」(平成29年度)では、「OFF-JT に支出した費用」の年ごとの推移が示されている。これによると、平成29年度は労働者一人当たりの平均として17,000円であった。

また、自己啓発支援として支出した費用の平均は4,000円であった。

これらの合計値21,000 円はフォーバル調査の最多ボリュームゾーン(10,001~30,000円)と一致する。

企業が社員教育を行う際に、OJT を中心に費用をかけずに行う場合もあれば、いろいろと組み合わせて行う場合もあるだろう。実際に、フォーバル調査での教育予算を問う質問では、「0円」と回答した企業が143社(673社中・22.4%)あったことからも、OJTをメインに考えている企業が多いことが推察できる。

一方、仕事や職場環境の特性によっては、OFF-JTや自己啓発などへの支援のほうがより効果的だと考えている企業もあるだろう。

ブルーレポートの発行者

株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム

フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。