フォーバルでは、第4回アンケート調査において社員教育の実態について検証した。今後の中小企業経営において、人材の雇用や教育に関する課題が大きくなると考えているためである。
また実際に、前ページでも示したように「時間効率」を上げるために企業が具体的に行っていることとして、社員への教育を選択した経営者が多かった。
ここでは社員教育に対する企業の意識をみることにする。
上記の4つの選択肢のうち、最も多かったのは「実施していない」の438 社(1075 社中・40.7%)であったが、そのほかは温度差があるとはいえ、約6割の企業が社員教育を実施していると回答している。
ここで注目されるのは、社員教育を「積極的に実施している」と回答した企業が97社と少なく、全体でも9.0%しかなかったことである。またその数字は、「実施しているが消極的だ」と回答した212社19.7%)を大きく下回る結果となっている。
この結果を見ると、社員教育が積極的に行われていない状況がうかがえるが、他調査ではもっと低い結果が出ているものもある。
※5:「中小企業の『働き方改革』に関する調査」(株式会社商工組合中央金庫、2017年1月)
http://www.shokochukin.co.jp/report/tokubetsu/pdf/cb17other04_01.pdf
上記調査では、社員教育に関する取り組み・制度についての設問において、「既に導入・実施している」と回答した企業は40.7%にとどまっている(※5)。この回答のみでいえば、フォーバル調査の回答者の結果のほうが18.5ポイントも上回っている。
ここで、「実施していない」と回答した企業438社に対して行った、「社員教育をしていない理由」について検証してみることにする。
「する必要がない」が最多の194社(438社中・44.3%)となり、他を圧倒している。社員教育をしていない企業は、そもそも社員教育の必要性を感じていないことが多いとわかる。
次いで多かったのが「時間に余裕がない」を選択した116社(同・26.5%)。これは、社員教育の必要性を感じつつも、時間に余裕がなくてできずにいる企業である。また回答数は少ないが「予算に余裕がない」と回答した企業も32 社みられた(同・7.3%)。時間や予算に余裕がなくて社員教育を実施できていない企業が33.8%を占めている。
さらに「どうしたらよいかわからない」も足すと47.3% が、必要性を感じていないためではなく、その他の理由で教育に取り組めていないことがわかった。
ブルーレポートの発行者
株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム
フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。