新しい革新的技術が私たちの社会の課題を解決し、さらに暮らしをより良いものとする―――。
ここのところよく耳にするようになった「Society5.0」。聞いたことはあるけれど内容まではわからないという経営者は多いのではないだろうか。
政府は昨今の技術の進展を踏まえ、現実空間とサイバー空間を融合させた新しい社会の在り方を世界に先駆けて実現させようとしている。それが「Society5.0」と呼ばれる新しい社会の在り方であり、政府が描く成長戦略でもある。
これまでの技術革新は生活を豊かにしてきた一方、情報化社会となった今も知識や情報の共有・連携ができていなかった。また技術開発は進んでいても、それが社会に普及し、生活をより豊かにし、国民にその実感を知らしめるまでには至っていなかったというのが実際であろう。
例えば「限界集落」という言葉がある。少子高齢化と過疎化の影響で、人口の半数以上が65歳以上の高齢者で占められる集落のことで、地域社会を構成し、存続することが難しくなることが懸念されている。耕作放棄地が増え、山林は手を付けられず放置され、災害リスクが高まるなどの課題に加え、交通手段が乏しいことから、衣食住に関連する物資の調達や高齢者の健康維持が難しくなることも考えらえる。
また、生活している個々人への負担はさることながら、行政コストが増加することも想定される。インフラ整備はもちろんのこと、緊急車両や医療ヘリの配置等、住民への施策は都市部、限界集落の双方に行わなければならないからである。
こうした課題は、これまで基礎自治体の行政サービスや地域の自助努力によって取り組まざるを得ないことが多かったが、これが技術革新の力によって総合的に解決できるかもしれない。
高齢者が医療機関を受信できない間に重篤化することのないよう、遠隔操作での受診ができるようになれば、未然に罹患を防ぐことができるかもしれない。それはタブレットでの診察行為もあれば、器具を身に着けておくことで日常的に体調管理を行い、異変を知らせる仕組みかもしれない。
あるいはリスク対応のみならず、モノのインターネットと呼ばれるIoT(Internet of Things)により、日常生活の中にあるモノに通信技術を装備させることで、日常生活をより豊かにしてくれる可能性をも秘めている。買い物が困難な地域にはドローン宅配で新鮮な食物が届けられるかもしれない。体が不自由な高齢者には声に反応する電気があるかもしれない。自動運転バスが住民の移動を可能にする社会がくるかもしれない。介護ロボットはこれまで人力で対応するしかなかった介護の現場を支えることになるだろう。そうした新しい可能性に満ちた社会こそがSociety5.0なのである。
政府はこのSociety5.0 について、「” 狩猟社会” ” 農耕社会” ” 工業社会” ” 情報社会” に続く、人類史上5 番目の新しい社会」であるとし、「第4 次産業革命によって新しい価値やサービスが次々と創出され、人々に豊かさをもたらしていきます」としている。もう少し具体的にその経緯についてみてみたい。
ブルーレポートの発行者
株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム
フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。