働き方改革関連法の成立

2019 年1月28日、第190回国会において、安倍晋三総理大臣の施政方針演説が行われた。その中に、「働き方改革」に関するこんな発言があった。

働き方改革。いよいよ待ったなしであります。
この四月から、大企業では、三六協定でも超えてはならない、罰則付きの時間外労働規制が施行となります。企業経営者の皆さん。改革の時は来ました。準備はよろしいでしょうか。
長年続いてきた長時間労働の慣行を断ち切ることで、育児や介護など様々な事情を抱える皆さんが、その事情に応じて働くことができる。誰もがその能力を思う存分発揮できる社会に向かって、これからも、働き方改革を全力で推し進めてまいります。
障害者の皆さんにも、やりがいを感じながら、社会でその能力を発揮していただきたい。
障害者雇用促進法を改正し、就労の拡大を更に進めます(※9)。

働き方改革に関しては、国会論戦のみならず、多くのメディアで取り上げられていることから関心を持つ経営者も多いことだろう。

議論自体は2015年から始まったが、2018年6月29日には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(略称:働き方改革関連法)」として可決・成立し、2019 年4月に施行された。この法律は労働基準法や労働契約法など、働き方に関わる8つの関係法律を改正する内容となっている。

労働環境について、これまでも決まりごとがなかったわけではないが、その環境を見直し、労働者が働きやすい環境をつくること、また労働者の個別の事情にも配慮することで多様な働き方を可能にすることを目的としている。

※9:「平成31年1月28日 第百九十八回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説」(首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement2/20190128siseihousin.html

こうした目的を示されると、中小企業経営者からは「大企業だけ?」「うちは社員からクレームはないから大丈夫だ」「今は社員が足りているし、新たに雇用する予定もない」などの指摘を受けるかもしれない。

しかしながら、それでも取り組んでいかなければならないのが今回の改革なのである。なぜなら、今回の法改正が単に労働環境をよくするために行われるのではなく、強い日本経済をつくっていくために必要だと考えられているからであり、その日本の経済を根底から支えているのが中小企業だからである。

ブルーレポートの発行者

株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム

フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。

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