社員の1か月、1人あたりの平均残業時間

その「できている」と回答した経営者に対し、「1 か月、1 人あたりの平均残業時間」について聞いた。

最も多かったのは「1 ~ 20時間」の472社(836社中・56.5%)、次いで「0時間」の156社(同・18.7%)であった。残業については20時間以下が圧倒的に多く、両者を足すと75.1%に及ぶ。40時間以下では93.3%であった。

1か月1人あたりの平均残業時間を教えてください

厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査 平成30 年結果(※4)」によると、パートタイム労働者を除いた一般労働者の総実労働時間の平均(1か月)は163.6 時間(出勤日数19.6 日・休憩時間は除く)、その内訳は、所定労働時間が149.6 時間、所定外労働時間(時間外労働)が14.0時間であった。

また、東京都産業労働局が行った「労働時間管理に関する実態調査(※5)」によると、各事業所における時間外労働時間の平均時間数は22.3時間となっていた。

※4:「毎月勤労統計調査」平成30年9月分結果速報(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/30/3009p/dl/pdf3009p.pdf
「毎月勤労統計調査」については2004年からの15年にわたり、定められたルールに反するモニター抽出が行われていたことが判明している。厚生労働省は2019年1月23日以降に公表したデータは過去の集計値を修正した後のものであるとしているが、ここではあくまで参考値として表記するものとする。

※5:「労働時間管理に関する実態調査」(東京都産業労働局、2016年)
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/koyou/jiccho28_all.pdf

平均で示せばこのような数字となり、これはフォーバル調査ともおおむね一致するものである。しかし社員によっては時間外労働の長い人もいるだろう。

東京都の同調査では、1か月の時間外労働時間について、その最長の時間を聞いている。それによると、45時間未満は一気に減って45.6%となり、45~80時間の合計が25.1%、80時間以上に至っては13.3%に及んでいる。200時間以上では2.5%も存在している。

平成28年9月の時間外労働(最長者時間数)

社員の健康維持は、企業の安定経営にとっても不可欠な要素である。

厚生労働省でも、〝恒常的な長時間労働等の負荷が長期間にわたって作用した場合、「疲労の蓄積」に至り、それが欠陥病変等を悪化させ、脳・心臓疾患を発症させることがある〟としている(※6)。

疾病を発症してしまった場合は労働時間のみならず、その他の要因と考えられるものも含めて総合的に判断されることになるが、労働時間がその根拠として考えられる場合の目安は、月の残業時間がおおむね80時間(※7) を超える場合といわれている。これがいわゆる「過労死ライン」と呼ばれるものである。

上記の調査で示されているように、ひとりでもその「過労死ライン」を超えて働く労働者がいる事業所が減っていくように、労働環境の整備をさらに進めていく必要があるだろう。

※6:「脳・心臓疾患の労災認定・「過労死」と労災保険」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-11.pdf

※7:発症前の2か月間ないし6か月間の場合、または、発症前1か月間で100 時間を超える場合も含まれる

ブルーレポートの発行者

株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム

フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。

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