注目人材の雇用について(現在・将来比較)
こうした注目人材をめぐる動きが活発化する今、中小企業ではこれらの人材の雇用についてどのように考えているのか。
フォーバルでは2018 年12 月に、これら注目人材の雇用状況(現在)と雇用意思(将来)についての調査を行った。
今回、調査を行うにあたり、注目人材の項目については以下のように設定した。
・子育て中の女性
・家族などを介護している人
・シルバー人材
・外国人
現在、これらの人材を雇用しているかどうかを問う設問では、4人材のうち、最も多かったのが「子育て中の女性」の346 社(1075 社中・32.2%)。次いで「シルバー人材」の193 社(同・18.0%)、「家族などを介護している人」の129 社(同・12.0%)、「外国人」の124 社(同・11.5%)であった。複数回答であるため重複して回答している企業もあるが、これらを1つでも選択した企業は540社(同・50.2%)であった。
しかし、最も多かったのが「上記のどの人も雇用していない」の535 社で、これは調査対象の49.8%に及ぶ結果となった。
これらの結果について検証するため、他の調査との比較を試みることにする。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが行った調査によると、人手不足への対応を問う設問で「女性・シニア等、多様な人材の活用」と回答した企業は44.0%であった。フォーバル調査では上記の人材をどれかひとつでも雇用していると回答した企業が50.2%であり、約6ポイント高い結果であった。
また、フォーバルではこれらの人材についての、将来的な雇用意思についても聞いている。
それをまとめたのが以下の表である。
将来的に雇用を検討している人材として最もスコアが高かったのは「子育て中の女性」の477社(1075社中・44.4%)であった。次いで外国人(30.5%)、シルバー人材(30.4%)と続くが、最も低かったのが「親などを介護している人」の23.1%であった。
それぞれ、現状よりも将来的な雇用意思のスコアが上がっており、特に外国人の雇用を検討する企業が倍以上に増えたのは、昨今の外国人労働者受け入れ拡大に向けた法改正や制度準備によるものであろう。
一方、「親などを介護している人」のスコアが低かった点については、介護離職を防ぐ意思があったとしても、新たに採用するかどうかについては課題があると感じている経営者が多いためだと考えらえる。
ブルーレポートの発行者
株式会社フォーバル ブルーレポート制作チーム
フォーバルは1980年に創業以来、一貫して中小企業と向かい合い、現在20,000社以上にサービスを提供している。フォーバル創業者の大久保秀夫は東京商工会議所副会頭、中小企業委員会委員長としても活動。今後フォーバルが誰よりも中小企業のことを知っている存在を目指し、良いことも悪いことも含め、現場で中小企業の生の声を集め、実態を把握。そのうえで関係各所へ提言することを目的に、プロジェクトを発足。