会社名
株式会社FINE TRADING JAPAN
所在地
和歌山県和歌山市出島
設立
2008年(平成20年)7月
事業内容
車載カメラ、車載LED、車載オーディオ、車載インテリア等、
自動車関連用品の企画・設計・製造・販売
従業員
20人+10人(子会社) 計30人(平成29年5月現在)
URL
企業サイト:http://finetrading.co.jp/
メーカーブランドサイト:http://glafit.com/
乗り物を通じて、世界中の人々に驚きと感動と笑顔を届けたい
車載カメラ、車載LED、車載オーディオ、車載インテリアなど、自動車関連用品の 企画から設計・製造・販売までを一貫して行っている株式会社FINE TRADING JAPAN様(以下FINE TRADING JAPAN)。
「乗り物を通じて、世界中の人々に驚きと感動と笑顔をお届けする存在でありたい」というビジョンのもと、和歌山県和歌山市の本社、中国支社、香港支社、東京都渋谷区に事務所を構え、自社ブランドの立ち上げや、中国への進出など、これまで着実に一歩一歩成長を遂げられてきました。
近年では、自転車モード、電動バイクモード、足とモーターによるハイブリッドモードと3通りの乗り方ができるハイブリッドバイク「glafit(グラフィット)」を開発。
目標金額300万円としてクラウドファンディングで先行発売したところ、大反響!目標標金額の300万円はプロジェクト開始から僅か3時間で達成、7月20日時点で支援総額は1億0718万円を突破。国内クラウドファンディングにおける資金調達額で、最高記録を樹立しました。現在、次世代バイクとしてあらゆるメディアにも取り上げられています。
FINE TRADING JAPANメンバーを率いる鳴海禎造社長は、元大久保秀夫塾生。
大久保秀夫のことを「一生の恩師」と慕い、卒業から数年経った現在でもさまざまなメディアの取材でその想いを常に伝えています。
大久保秀夫塾との出会い~得られたこと、そしてglafitへの想いについてお伺いしました。
自分で稼いだお金で買った車がきっかけで大きな転機に
フォーバル 西野 幸典(以下西野):現在glafitが日を追うごとにメディアで注目されていますが、まずは創業前・創業された頃の話を、お聞かせいただけますか?
FINE TRADING JAPAN 鳴海 禎造社長(以下鳴海社長):私は15歳の頃から商売をしておりまして、最初は服の買付・販売、その後、自作パソコンの販売をしていました。そこで得た収入で自動車を購入したことがきっかけで、自動車関連の商売に目覚め、2003年に個人事業主として本格的にビジネスを始めました。
いろいろとありましたが、当時最も大きかったのが自動車系のポータルサイトを運営している企業の新サービス立ち上げに参加したことです。日本車を海外へインターネット販売するという内容だったのですが、これが非常に好調で、私1人でもかなりの台数を売りましたね。
一方で、このような貿易輸出業は税制上の問題がありました。個人事業では一言で「限界」だなと。法人かつ、専門で行っていった方が良いと言う話を受けて2007年にFINE TRADING JAPANが誕生、そして2008年7月に法人化しました。
株式会社FINE TRADING JAPAN 代表取締役
鳴海 禎造 様
自動車が全く売れない…法人化直後のまさかの事態にも負けず
鳴海社長:しかし、法人化直後の2008年9月に想定外の事態が発生します。何が起きたと思いますか?
鳴海社長:おっしゃるとおりです。突然起きたリーマン・ショックによってスーパー円高=自動車が全く売れなくなってしまいました。
ご存知のとおり当時は先が見えぬ状況でしたので、輸出を一度諦めて輸入に切り替えたのです。
私が注目したのが中国で開催されている貿易展示会でした。中国で作られていながらマーケットが世界に向けられている商品を日本へ輸入しインターネットで販売することを考えたのです。自ら中国へ行き、売れそうな商品を見つけてはエアー便で日本へ輸入・販売をしていました。
これがうまく軌道に乗ってくれまして、危機を脱することができましたね。
西野:いきなり大変でしたね。しかし当時リーマン・ショックを受けて、諦めてしまう経営者も少なくないなかで、すぐに発想を切り替えて中国に向かわれた行動力には驚きです。
株式会社フォーバル コンサルティングディビジョン
ディビジョンヘッド 西野 幸典
偶然、手にした大久保秀夫の本が価値観を大きく変え、そして入塾を決断
鳴海社長:リーマン・ショックを乗り切り、私のなかでは、この流れに乗り続けていこうという考えだったのですが、一方で社員との溝に悩んでいました。
ある時、山口県の取引先の社長から「読んでみな」と言われてもらった本が、大久保秀夫会長の「決断」でした。活字だらけの本に抵抗を持っていた私にとりましては、最初はあまり関心が無かったのが正直でして。従来ならもらったきりで読んでいなかったと思います。
しかし、帰りの新幹線の時間がそれなりに長かったので、暇つぶしにと思い何気なく目を通したら見事に完全読破(笑)。
そして言葉では表すことができない位の衝撃を受けました。その後、調べていくうちに大久保秀夫塾の存在を知り、直接学びたいと思い入塾を決意したのです。そこに迷いは一切ありませんでした。
西野:「決断」の本が出会いのきっかけだったのですね。
そこまで一気に鳴海社長の心を動かした大久保秀夫の教えを直接受けて、印象に残っていることは何ですか?
鳴海社長:本当にたくさんありますが、中でも「100年ビジョン」「社会性・独自性・経済性の順番で考える」「明元素」「決断力」の話は印象に残っています。
大久保秀夫の本がきっかけで大久保秀夫塾への入塾を決断
そして学びを通じて価値観が大きく変わったと
鳴海社長は笑顔で振り返る
100年ビジョンを胸に…次の一手で自動車の分野にパラダイムシフトを起こす
鳴海社長:「次の一手」も印象に残っています。100年ビジョンが根っこの部分であるならば次の一手は未来の部分。FINE TRADING JAPAN の100年ビジョンは、「乗り物を通じて、世界中の人々に驚きと感動と笑顔をお届けする存在でありたい」です。
100年ビジョンからさかのぼって自分たちがやるべきことは何なのかを考えた結果、自らが自動車の分野にパラダイムシフトを起こす存在になり、次世代の乗り物を創るメーカーとなって世界の人々に驚きと感動と笑顔をお届けすることが使命だと感じました。
メーカーとしてやっていくにはブランドが必須です。これは私だけでなく社員も巻き込んで考案しましたね。皆が一丸となっていくためには、社員=仲間の存在が欠かせませんでしたから。
「funride & fundrive」のスピリッツで、安心・安全・便利・快適・愉快といった付加価値を創造し、驚いて感動してもらい、笑顔になっていただける乗り物を創るために…
こうしてでき上がったのがgladとfitという2つの言葉を組み合わせた「glafit」です。100年ビジョンを実現させるために世界商標も取得しました。
また、現在の日本国内の自動車メーカーは全て自転車にエンジンを付けた二輪からスタートしています。それならばと私達も二輪からスタートしようということに決めました。
こうして試行錯誤の末、電動ハイブリッド型glafitバイク(以下glafit)が完成したのです。
西野:今、必要とされるモノを作るだけでなく、100年ビジョン実現への想いを、現場を巻き込みながらカタチにされたのですね。まさに大久保秀夫の教えそのままであり非常に素晴らしいです。
経営理念、100年ビジョンへの想いが
glafitに込められている
※画像はgrafit公式サイトより
鳴海社長:glafit は、多様な人々の生活を変え、同時に問題を解決してくれます。
例えば毎日の通勤にglafitを使い、飲みに行った時でも、折り畳んで電車やタクシーで帰ることができます。コンパクトなデザインですので自転車の駐輪場にも置くことだって可能です。
西野:確かに、それは非常に便利ですね。大久保も世の中の不便を便利に変えることが大切であると言っていますが、まさにその実践ですね。
公共機関・タクシー等でglafitを運ぶ事が可能
glafitは私たちの生活を大きく変える
※画像はgrafit公式サイトより
自分の中で大きな軸ができたことで方向性が1つに
鳴海社長:改めて振返りますと、大久保秀夫塾で新しいことを学び、頭で考えているうちは完全に事業に落とし込みすることができていなかったと思います。
ただ、心の底から腑に落ち、同時に体感し続けることで、徐々に当たり前になってきました。
大久保秀夫塾長は、経営の本質を理解する事が出来た時に、業界関係なく全てが同じなのだとおっしゃっていましたが、ようやくその言葉の意味が最近になってほんの少し分かってきたような気がしています。
西野:鳴海社長のおっしゃるとおり、大久保秀夫塾で学ばれている時は、全力で悩み続け、それをどう社員へ落とし込もうかばかりを考えられていたかと思うのですが、卒業後も学びを実践し続けたことで軸ができ上がったことが大きいのではないでしょうか。
常に軸と照らし合わせながら新商品・サービスを考えたり、社員へ落とし込んだりして、取引先への発信等ができているのではないかと思います。
鳴海社長:そうですね、軸が確立したことで自然と会社にも浸透してきているように感じます。
例えば、社員から上がってきた話は、会社のこと、個人レベルのことなどさまざまですが、それがビジョンと照らし合わせた時に、ズレていないか、そこの軸にどう合っているかと言う基準で話をする。それが常にできていることで、社員にも伝わり定着していくのです。
100年ビジョンへの想いは
社員へ確実に伝わっている
類は友を呼ぶ、和歌山から100年ビジョンの実現へ向けてさらに加速
鳴海社長:月に2~3回、大勢の前で講演をさせていただくことがあるのですが、その時に100年ビジョンや社会性・独自性・経済性の話をしますと、「素晴らしい」「目から鱗でした」と言う声をいただきます。
私の中ではそれがあたりまえとなっているから、自然と話すことができているのかなと。そして、共感・共鳴いただいた方々と新しい取引にもつながっていくのです。
大久保秀夫塾で学んだ「類は友を呼ぶの法則」の話を思い出します。
西野:あたりまえになっているからこそ、鳴海社長の言葉に重みがあるのでしょうね。
「類は友を呼ぶの法則」は誰もが体感されるわけではありませんし、考え抜いてやり抜いたことが大きかったのだと思います。規模問わず、新しい取引においてgrafitも協業してくださる方々も増えていると言うことですか?
鳴海社長:はい、おっしゃるとおりです。これには一言で感謝ですね。
あと、私の中でブレていないもう1つの軸が、「和歌山」です。最近、応援してくださる人の方々に和歌山出身の方が増えています。
和歌山つながりで私の理念・ビジョンにどんどんと共感・共鳴いただきながら協業の輪が広がっていると思います。
西野:鳴海社長の「想いの強さ」ですね。話すべき人に対して強い想いを持っていたことが大きかったのだと思います。素晴らしいです。
鳴海社長の「想いの強さ」が
新たな仲間を創り出す
業績好調の陰に、理念・ビジョンへの熱き想い、そして社員への感謝の心
西野:入塾前と入塾後での売上高の変化についても教えていただけますか?
鳴海社長:入塾前は年商で約1億でした。前期は3億2,000万、今期予想は約6億です。おかげ様で右肩上がりとなっております。 ※本社単体
西野:入塾前と入塾後で倍以上になったということですね。社員数はいかがですか?
鳴海社長:社員も毎年増えています。毎年2~3名で、今年は5~6名予定しております。皆が付いてきてくれたことに感謝です。
凄く思っていることが、お金だけではないということ。そして社員のやってくれている仕事を、私がやろうとしても全てを行うことはできないなって。私はパソコンがそこまで長けているわけでもない、エクセルもできない、WEBサイトも作れないですし。
ただ、仕事を通じて実現したいビジョンがある。経営者として、経営理念を創りビジョン実現に向けて最後までやり抜くのだと。これだけは何があっても失ってはならないことです。
私が講演する際、必ずお伝えしている言葉が有ります。「理念・ビジョンが無い時の変化はただのブレ、理念・ビジョンがある時の変化は成長である」成長のために社員の特殊能力を最大限発揮させる、そして社員と共に目指すことが必要なのだと考えています。
grafitを立ち上げたのが2012年、そして商品開発を始めたのが2015年なのですが、ビジョンを映像で表現して社員に共有しました。方向性をより合わせるために。
西野:鳴海社長が大久保秀夫塾に通われていた時も塾生の一部の方が、ビジョンを動画にして社員へ伝えていましたものね。動画成長期と言われる現在においては、さらに増えている印象です。
想いを伝えるにおいては、動画を活用する・しないで大きな違いがあると思いますね。
理念・ビジョンの実現に
多様な社員の力は大切だと鳴海社長は語る
これからもフォーバルと共に在り方経営を伝承していきたい
西野:今後フォーバルに期待することはございますか?
鳴海社長:今回フォーバルが大久保秀夫塾と言う素晴らしい学びの場を創ってくれましたが、「ああいうのあったよね」という過去形で終わらせないでほしいです。
もちろん私も1人の伝承者として発信をしていくつもりですが、今後も何らかの形で続けてほしいですね。
在り方経営を広めていくために、何かお役に立てる時があればどんどん巻き込んでもらえれば力になりたいと考えております。
西野:ありがとうございます。経営塾は今後も続けていく方向で現在検討を進めてます。必要な時は「塾の学びを実践し続けている経営者」として、ぜひとも鳴海社長へご協力をお願いしたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。
フォーバルエントランス前にて
一生の恩師大久保秀夫の人形と共に
編集後記
理念・ビジョンというブレない軸を持ちながら精力的に動かれていらっしゃる鳴海社長。その発言のひとつひとつは非常に熱く深いものがありました。
以前、私が大久保秀夫に「これからの夢は何ですか?」と質問したことがあります。
すると大久保はこう言いました。「夢について考えたことはないかな。全てのことに対して使命感を持って挑んでいたからね。」と。
大久保秀夫を一生の恩師と慕う鳴海社長もまた、理念・ビジョンの実現に強き使命感を持って挑まれているのではないでしょうか。
また、取材後には和歌山名物の梅を差し入れてくれる等、和歌山への想いと、ステークホルダーへの感謝の気持ちをカタチにしてくれました。
少しでも宣伝になればと、鳴海社長からいただいたgrafitのステッカーは私のパソコンにも貼らせていただきました。当サイトでのご紹介も含め微力ながらgrafitに込められた想いと認知度が少しでも多くの方に伝わったら嬉しいです。
(2017年7月取材時)